2014年のデータでは、糖尿病患者さんで下肢の切断を余儀なくされる患者さんが全国で約3000人いると報告されています。
そのような患者さんを少しでも減らすため、これまで私たちは足の観察、感覚のチェック、下肢の血流の測定等を行ってきましたが、今回よりリスクの高い患者さんのために、下記のフットケア外来を設定しました。
対象の患者さん
当院に通院中で、下記の糖尿病足病変に関する指導の必要性があると主治医が認めた患者さん
・足潰瘍、足趾・下肢切断既往などがある方
・閉塞性動脈硬化症の方
・糖尿病神経障害の方
指導内容
①足の状態の観察をします
②足浴等(足を洗います)
③角質除去(皮膚の管理をします)
④爪甲除去(爪切りをします)
⑤足の清潔、爪切り等の足のセルフケア方法の指導をします
⑥正しい靴の選択方法をお伝えします
※お困りの方は、お気軽にスタッフまでお問い合わせください。
甲状腺の病気の患者さんは500~700万人と推測され、その中で治療が必要な人は約240万人と、よくある病気ですが、実際に治療を受けているのは約45万人と言われています(甲状腺学会ホームページを引用)。
甲状腺は首の前側、のど仏のすぐ下にある蝶(チョウ)が羽を広げた形をした臓器ですが、普通は触ってもわかりません。甲状腺の働きは、甲状腺ホルモンをつくり、血液中に放出(分泌)することです。甲状腺ホルモンは、脳の活性化・体温の調節・心臓や胃腸の活性化・新陳代謝の促進(エネルギーを作る)する大切な働きがあります。そのため、甲状腺ホルモンが少なすぎても、多すぎても、体調が崩れてしまいます。
甲状腺の働きに異常が生じ、甲状腺ホルモンの分泌が少なすぎる状態を甲状腺機能低下症といい、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎる状態を甲状腺機能亢進症といいます。甲状腺機能低下症の症状は、脈が遅い・寒がり・気力がない・皮膚がカサカサする・体重増加・物忘れ・便秘などです。甲状腺機能亢進症の症状は、ドキドキする・暑がり・汗が多い・手のふるえ・イライラしやすい・体重減少・食欲が旺盛などです。甲状腺機能低下症・亢進症の共通の症状としては、疲れやすさ・だるさです。コレステロール値、血糖値などの急な変化が認められた場合も、甲状腺の働きの異常を疑う必要があります。
甲状腺機能低下症の原因の代表的な病気には慢性甲状腺炎(橋本病)が、甲状腺機能亢進症の原因の代表的な病気にはバセドウ病があります。甲状腺ホルモンの異常に特有な症状でないことから、その病気を疑って検査をしないと、見過ごされやすい病気です。早期発見・早期治療のためにも、症状に心当たりがある時は、受診された際、お気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が何度も繰り返される病気です。睡眠中に喉の奥の筋肉や舌が緩み、空気の通り道である上気道が閉塞してしまうことが原因であり、肥満体の人に多い傾向があります。
睡眠時無呼吸症候群の悪影響は大きく二つあります。
①頻回の無呼吸のために良質な睡眠を得ることができず、日中の眠気や倦怠感を引き起こし、居眠り運転による交通事故や仕事上のミスにつながることがあります。
②無呼吸時には低酸素状態となるため、このことが様々な臓器に対して悪影響を及ぼし、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの合併症を起こしやすくなることがわかっています。
睡眠時無呼吸症候群の重症度を調べたり、治療方法を決めるためには、終夜睡眠ポリグラフ検査(俗に無呼吸検査と呼ばれる)が必要であり、1時間当たりの無呼吸回数や血中酸素濃度の低下状態を調べることができます。この検査には二つの方法があり、
①在宅で行う簡易無呼吸検査 (下図)
自分自身で装着可能であり、入院する必要がない。
呼吸状態、脈拍数、血中酸素濃度(SpO2)を測定する。
②入院で行う詳しい無呼吸検査
一晩の検査入院が必要。
簡易検査の項目に加え、脳波、筋電図や眼球の動きも測定し、睡眠の深さなどのより詳しいこともわかる。
これらの検査より無呼吸低呼吸指数(睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸を合計した回数)を算出します。以下、無呼吸低呼吸指数をAHIと略します。AHIが5~15回の場合軽症、15~30回の場合中等症、30回以上の場合は重症の睡眠時無呼吸症候群と判定されます。
軽症の睡眠時無呼吸症候群の場合は、睡眠中の体位の工夫(横向きで寝るように努める)、減量、禁煙、就寝前の飲酒を控えるなどの生活習慣の是正で無呼吸の改善が期待できます。
しかし、中等症~重症の場合はCPAP療法(右図)が第一選択治療とされています。CPAP療法とは経鼻的持続陽圧呼吸療法の略であり、一定圧を加えた空気を鼻マスクから送り込むことによって上気道を広げて睡眠中の気道を確保しうる有効な治療法です。CPAP療法を行うことにより、1)自覚症状(日中の眠気や倦怠感)が改善すること、2)心臓病や脳卒中などの合併症予防になることの効果が得られます。
睡眠時無呼吸症候群に対してCPAP療法は保険適応となっていますが、無呼吸検査によるAHIの値がCPAP療法の導入決定に必須です。「入院で行う詳しい無呼吸検査」の場合、AHIが20以上であれば保険適応となります。一方、「在宅で行う簡易無呼吸検査」の場合はAHIが40以上であれば保険適応となります(かなり重症の患者さんのみ適応となる)。
一般的には入院での検査を初めから行うのは敷居が高いため、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合まず在宅での簡易検査を行います。簡易検査の結果、AHIが40以上であれば直ちにCPAP療法を開始できます。AHIが15~39の場合には専門病院に紹介して、入院での無呼吸検査を行ったのち治療法を決定するようになります。検査と治療法決定の大まかな流れを下記に示します。
当院でも「在宅で行う簡易無呼吸検査」を行っております。検査費用は約9,000円ですが、保険適用されるため、3割負担の方は約3,000円となります。簡易検査の結果より入院での無呼吸検査が必要な場合、あるいは初めから入院での検査を希望される方は専門病院にご紹介いたします。CPAP療法を始めた方の場合は当院で治療を継続できますが、月1回の受診が必要となります。CPAP療法の治療費用は月13,500円であり、3割負担の方は約4,000円となります。
当院受診中の糖尿病患者さんの年間HbA1cとBMIと推移表です。
冬場に血糖値が悪化し、体重が増えることが表からわかります。
秋口からは注意してコントロールして行きましょう。
【がん検診】
【特定健診】
ひとりでは運動できない、運動の仕方がわからないという方、
仲間と一緒に楽しく体を動かしませんか?
無理なく、楽しく♪ 「健康運動指導士尾島文子」が皆様のお手伝いをします。
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食事療法は糖尿病をはじめとする生活習慣病の治療の基本であり、出発点です。
当院では管理栄養士が3名在籍しており、
食事療法が必要な患者様に医師の指示のもと栄養指導(1回30分程度)を行っています。
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糖尿病外来では、診察前に看護師または管理栄養士による問診を行っています。
栄養指導までは・・・と思われている方も疑問・質問、気になること等ありましたら、管理栄養士に、気軽にお尋ねください。
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院内広報誌のみどりの風は主に管理栄養士が発行しています。
季節ごとのちょっとした栄養のお話なども載せていますので、よろしければお手に取ってみて下さい。
『自宅での血圧測定のすすめ』
--高血圧の正しい診断やより良い治療のためには、家庭血圧測定が重要です--
岩本内科医院 篠原尚典
最近は自宅に家庭血圧計をお持ちの方も多くなり、病院等で測定した血圧(診察室血圧)だけで評価・治療するのではなく、自宅で測定した血圧(家庭血圧)も重視した上で治療を進めることが強く推奨されております。
それは家庭血圧でしか得られない情報がたくさんあり、診察室血圧だけでは不適切な診断・治療になる恐れがあるからです。
【家庭血圧の特徴】
【家庭血圧でわかること】
【家庭血圧の測り方】
このように家庭血圧の測定には、日々の血圧を管理する上で役立つことがたくさんあります。
ぜひこまめに家庭血圧を測定する習慣を持ち、その記録を主治医にも定期的にみてもらいましょう。
しかし血圧自体は日々変動するものなので、毎回の値をあまり気にしすぎてはいけません。
『心房細動って言われたら、脳梗塞が心配! だけど治療をすれば恐くない』
岩本内科医院 篠原尚典
心房細動とは脈が乱れて頻脈になりやすい不整脈です。
心房細動が発作的に出現する「発作性心房細動」では動機を自覚することが多いですが、慢性化した「持続性心房細動」では無症状のことも多く、健診などで見つかることもよくあります。
心房細動は弁膜症に合併しやすいですが、最近は心臓病のない高血圧や高齢の方で心房細動が増えており、70歳代で3%、80歳代では4~5%の方に見られます。
心房細動自体はそれほど重症な不整脈ではありませんが、将来的に脳梗塞を起こし易いことが一番の大きな問題点です。
有名人では、長嶋元巨人監督、小渕総理大臣、オシム元サッカー日本代表監督などが心房細動の不整脈から脳梗塞を患ってしまいました。
心房細動が起こると心臓(左心房)の中に血栓(血のかたまり)ができ易くなり、この血栓が血液の流れで運ばれ脳の血管を詰まらせて脳梗塞となります。
心房細動の方はそうでない方に比べて約5倍の脳梗塞の危険性があり、重篤な後遺症を残す大きな脳梗塞になり易いことがわかっています。
同じ心房細動でも患者さんによって脳梗塞の危険性は異なり、弁膜症の人や高齢、心不全、高血圧、糖尿病、以前に脳梗塞になった人では高くなります。
個々の患者さんでの脳梗塞の危険率はある程度予測でき、例えば75歳で高血圧と糖尿病がある方の場合、脳梗塞発症率は年間約6%になります。
心房細動では『脳梗塞をいかに予防するか』が重要であり、血液を固まりにくくする抗凝固薬を使用して、血栓をできにくくして脳梗塞を予防する治療を行います。
抗凝固薬治療により、脳梗塞を約1/3まで減らせることができます。
抗凝固薬で適切かつ継続した治療を行うと、脳梗塞の危険性を大きく減らせることができる訳です。
脳梗塞予防の凝固薬として、1)従来からのワルファリン、2)2011年から使用されている新しい抗凝固薬の2種類があります。
それぞれ一長一短があり、患者さんの状態や希望に応じて使い分けをします。
心房細動の方は放置してはいけません。
まず超音波検査で心臓の状態を調べて、次に脳梗塞の危険性を評価し、個々の状態に応じた適切な脳梗塞予防の治療を行うことが必要です。
当院では、心房細動に対して最新の治療指針に基づいて、かつ患者さんにとってベストになる診療を行って行きたいと思っております。